時折、石窯のある裏庭で パンを焼くことがあります。
やはり、これは我が家にとって 特別なことです。
まずは、石窯に薪を入れ 窯を温めていきます。
煙突から出る煙、 焚き火の匂い、火が燃える音と木がはぜる音、
これが第一幕の風景です。
窯が ”もう いいよ” と合図を出すと、窯から炭をかき出し 窯の温度を確かめます。 さあ、準備はオッケー パンを窯に入れ 第二幕の風景が始まります。いつものことですが、初めは気持ちが高まります。パンはふっくらするかしら‥‥ 窯の温度は大丈夫かしら‥‥とね。
しばらくすると、パンの香ばしい匂いが 鼻をそそり、ほっとするのです。
そして空を仰ぎ、庭を眺め、鳥の声に耳を傾け、ゆるやかな時間が流れます。
最終幕、窯の扉を開ける時です。ふっくらこんがり上出来パン、焦げすぎの黒こげパン、窯立ちのしないぺっちゃんこパン
と、焼きあがりもいろいろ。そのたびに、気持ちが浮いたり沈んだりする私。そんな私を、”やれやれ”と思って見ている夫。これもいつもの風景です。
パンを石窯で焼くことは特別なこと。豊かな時間が流れます。